代表部員の活動:常塚 慈美専門調査員
令和6年3月27日
ASEAN日本政府代表部
専門調査員 常塚 慈美 |
![]() ASEAN-Japan Fair で参加者と一緒に写る筆者(写真中央) |
1 はじめに派遣元である国際交流サービス協会によると、外務省在外公館専門調査員は、「政治、経済、文化などの調査・研究を行うもので、語学力や専門性を活かしつつ、在外公館長の指揮監督の下に働くもの」と定義されています。ただ、正直申しますと、私はもともとASEANの政治、経済、文化に精通していたわけではなく、むしろ“何でも屋(いわゆるジェネラリスト)”であったため赴任出来たのもラッキーだったと感じています。日本外交の裏舞台に触れ、国際経験を積む上で、とても充実した日々を過ごしています。当代表部の専門調査員のポストは新設されたもので、私が最初の専門調査員あたります。主に、政務・広報両方に携わっており、特に昨年の2023年は日ASEAN友好協力50周年であったため、本周年をどのように盛り上げるか、一般の方々に日本とASEANの関係性について知っていただくためにどうすれば良いか、ということを考えながら業務に注力してきました。 2 日ASEAN友好協力50周年イベント「ASEAN-Japan Fair」日ASEAN友好協力50周年の政府全体の内容・成果については、他館員の方や外務省のウェブページをご確認いただければと思いますが、当代表部主導では、ASEAN事務局が所在するジャカルタに於いてイベントの実施や、また日本とASEAN各国の方々も参加できるようなオンラインイベントも行いました。今回、三つの大きなイベントのうちの一つについて紹介します。ASEANは、重要な政策の1つである「インド太平洋に関するASEAN・アウトルック(AOIP)」 の中で4つ(海洋協力、SDGs、連結性、経済等)の重点テーマを掲げています。日本政府としても、JAIFを含め各種の日ASEANの協力プロジェクトを通じてこれらのテーマの実現に尽力してきました。そこで、これらのテーマと合致した事業やCSR等の取組をされている企業や地方自治体に協力していただき、日ASEANの協力関係について知っていただくという目的のもと、日ASEANにまたがる協力プロジェクトや事業等のパネル展示・ワークショップ等を行う「ASEAN -Japan Fair」を大型ショッピングモールにて、3日間開催しました。 イベントでは、ASEAN各国において、ホットトピックである海洋プラスチック問題・ゴミ分別に関するクイズや、ペットボトルのカバープラスチックを使用しカゴやキーホルダーを作るワークショップ、古着などを回収して新たな製品として再生させる女性起業家の支援を行っている事業の紹介等、多岐にわたるワークショップやトークショーを行いました。また、イベントでの展示パネルには、例えば、タイにある工場でつくられた製品が、インドネシアをはじめとしたASEAN各国や世界中で販売されているといった、モノや人の交流を通じて、我々が世界とどのように繋がっているか(連結性)等、企業・地方自治体をはじめとした関係者の皆さまのご協力の下、3日間で1000人以上の方が来場していただきました。 その他のイベントとして、ウォーキング・ランイベント、クイズ・ゲームチャレンジ等も実施し、インドネシアだけではなく、ASEAN各国・日本の人々にも参加していただけるよう、工夫を凝らし、日ASEAN友好協力50周年を盛り上げていきました。皆さんにとって、本周年イベントが日ASEANの歴史・友好協力について知っていただく機会となっていれば幸いです。 3 おわりにASEANは、冷戦の時代に大国に翻弄されてきた苦い経験より、近隣諸国が結びつき、世界で生き延びていくために出来た共同体です。様々な国の共同体だからこそ、“ジェネラリスト”の視点、広い視野で物事を捉える視点が必要だと感じています。特定の地域の専門性が無くとも、「世界のフィールドで日本のために何かしたい」という意欲があったからこそ、本職をやり遂げることが出来ました。今後も日本にとって、本地域は、政治・安全保障、経済において、とても重要な地域であり、文化も多様で、魅力に溢れています。是非、日本の皆さん、多くの方にASEAN各国の魅力を知っていただきたいです。私自身、専門調査員としての任期を終了後も、日本の皆さんに、東南アジア諸国、ASEANの良さを発信し続けていこうと思います。 |