代表部員の活動:板井 史織派遣員
令和5年12月4日
日ASEAN外交を支える派遣員 板井 史織(2021年~ ) ※以下の内容は、ASEAN日本政府代表部の立場や意見を代表するものではなく、あくまで私自身の個人的見解です。 |
![]() (輝ける友情 ウォーク&ラン 2023にて、ステージ上でパフォーマンスをする筆者) |
1 はじめに私は2021年3月より、外務省在外公館派遣員としてASEAN日本政府代表部で勤務しております。普段は館員の出張手配や離着任支援といった業務やレセプションの開催補助を担当しており、旅行代理店やホテルとの調整業務が多いため、代表部の中では唯一インドネシア語が業務で求められるポジションです。代表部は、在インドネシア日本大使館と同じ建物に所在していることもあり、垣根を越えて一緒に仕事をすることが多くあります。 その代表的なものが要人訪問の対応、「ロジスティック業務(ロジ)」と呼ばれる後方支援的な業務です。インドネシアがG20、ASEAN議長国を務めたこの2年は、総理大臣の訪問や、閣僚級会合関連で想像以上に多くのロジが発生し、その度に代表部と大使館は一体となり対応してきました。 2 全館体制のロジロジは普段所属する部署に関係なく、全館員が担当業務ごとにチームを作ります。私は空港班に所属し、空港関係各所との調整・交渉、各種の申請手続きやクルーの受け入れを担当しました。今年はインドネシアがASEAN議長国であったことから、インドネシアの地方都市で開催される閣僚級の会合も多かったため、地方へ出張し外務省以外の省庁の方と一緒にお仕事をする機会もあり、多くのロジ経験を積むことが出来ました。ロジでの失敗は許されないため、準備段階で非常に細かい部分まで調整をします。この地道な調整がロジを成功に導くために欠かせないことを何度も実感しました。また事前に調整した通りに物事が進むことの方がロジでは珍しく、直前で急遽変更が発生するのが常ですが、会合や行事に影響が出ないよう臨機応変に対応しなければならないので、柔軟性も鍛えられたと感じています。 経験したロジの中で一番印象に残っているのは天皇陛下のご訪問です。地方ご訪問先のジョグジャカルタでの空港ハンドリングを担当しましたが、専用機の受け入れに慣れていない空港でのロジは手探り状態でした。現地の空港担当者へ、まず天皇陛下はどういう存在なのかという説明をすることから始まり、ゼロから完璧な受け入れ体制を構築していく為に何度も議論を重ね、数え切れないくらい頭を抱えたロジでした。当日専用機が近づいてくる時の空港の緊張感は、今までのロジで味わったもので一番でしたが、その分ジョグジャカルタからジャカルタへ再度専用機が飛び立った時の達成感は格別でした。 3 おわりに振り返ると、コロナ禍で赴任し、最初は移動・活動制限の影響で思うように仕事が出来ない時期がありましたが、流行が落ち着いてからはロジに染まった任期だったと感じています。派遣員の仕事は外交の表舞台を陰から支えるものであり、どの仕事も数字や文書など目に見える結果は残らないものの、充実感・達成感を得ることができた貴重な仕事ばかりでした。また代表部は外務省以外の省庁からの出向者が多く、それぞれの担当分野の話をしていただくこともあり、自分の知らない世界を知る機会に恵まれ、特に今年は日ASEAN友好協力50周年の節目でもあったことから、日本とASEANの関係深化に奔走する姿を間近で見ることができました。 外交の最前線にいる館員や当地にいらっしゃった出張者の方々の円滑な業務遂行に、裏方として少しでも貢献出来たことを願うばかりです。 |