過去の挨拶文
令和6年1月24日
令和6年1月24日

ASEAN日本政府代表部大使の紀谷昌彦です。2022年11月末の着任直後に、2023年の「日ASEAN友好協力50周年」という歴史的な年を迎えました。2月にジャカルタで開催された50周年キックオフ・シンポジウムを皮切りに、年間を通じて13の日ASEAN閣僚級会議が日ASEANの各地で開催されました。12月には東京で日ASEAN特別首脳会議が開催され、共同ビジョン・ステートメントと実施計画が採択されて、今後の日ASEAN協力の方向性が示されました。
共同ビジョン・ステートメントで、日本とASEANは「信頼のパートナー(Trusted Partners)」となりました。共有するビジョンは、共通の原則と価値が保障され、全ての国が平和と繁栄を追求でき、民主主義、法の支配、良い統治、人権及び基本的自由の尊重の原則が守られる世界を目指すことです。そのために、(1)世代を超えた心と心のパートナー、(2)未来の経済・社会を共創するパートナー、(3)平和と安定のためのパートナーの3つの柱の下で、包括的戦略的パートナーシップを強化することを確認しました。実施計画では、この3つの柱に沿った130の具体的協力の項目に合意しました。岸田総理は、この実施のために、「信頼」に基づく「共創」により目指す「平和と繁栄」のためのアクションを発表しました。
2024年は、新たな50年のはじまりです。ASEANは、日本にとって4つの意味で重要です。第一に、ASEANはインド太平洋地域の戦略的・地政学的要衝にあります。日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を実現するための要です。第二に、ASEANは世界の成長センターです。日本企業の製造拠点、6.7億人の人口を抱える消費市場、脱炭素・デジタルなど新課題への挑戦の場でもあります。第三に、ASEANは重層的な地域協力の中軸(ハブ)となっています。ASEAN主導の地域協力枠組みが発展し、首脳会合や分野別大臣会合が定期化・制度化されています。第四に、日本がいわゆるグローバル・サウスとの関係を強化する上でも、最も身近で多様性に富む存在です。
日本は1977年の福田ドクトリンに表明されている「心と心のふれ合う相互信頼関係」を大切にして、ASEANとの交流と協力を弛まず積み重ねていきます。そのような「信頼」の資産を基盤に、日本の技術と経験も生かして、エネルギー移行・気候変動・環境・デジタル化・保健・防災などの地球規模課題・社会課題への解決策を、未来に向けて「共創」することこそ、私たちがこれから進むべき道です。協力の成果をインド太平洋から世界へとスケールアップしていく大きな可能性もあり、課題解決のみならず信頼醸成も進めることで地域と世界の平和と繁栄に貢献できます。同時に、多層的な交流と協力の深化を通じて、日本とASEANが相互に学んで自らを変革し、公正かつ安全で豊かな多文化共生社会を実現することも大事な目標です。
2024年が、あらゆる分野で「信頼」と「共創」を推進する新たな出発点となるよう、皆さんと一緒に取組を進めていきたいと考えています。よろしくお願い申し上げます。
ASEAN代表部大使 紀谷昌彦
令和4年12月1日

ASEAN日本政府代表部大使の紀谷昌彦(きやまさひこ)です。2022年11月30日に着任しました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
東南アジア地域での在勤は今回が初めてですが、これまで日本や世界各地でASEAN諸国とともに、安全保障・平和構築・経済・エネルギー・開発協力・国際保健など幅広い課題に取り組んできました。このような経験や知見を最大限に生かして、国際社会で重要性を一層高めているASEANと日本の関係を更に発展させるために尽力する所存です。とりわけ2023年は日本ASEAN友好協力50周年を迎える記念すべき年であり、この重要な時期にASEAN日本政府代表部で仕事ができることを光栄に思っています。
これまでASEANは、一体性と中心性を原則に掲げ、多様性を包摂しながら、地域の発展に貢献してきました。2019年の「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」 は、「自由で開かれたインド太平洋」の考え方と共通する多くの原則を掲げています。日本はこれらのASEANの原則を一貫して支持し、ASEANの良き友人、心と心のパートナーとして共に歩んで来ました。
AOIPに対しては、その優先分野(海洋協力、連結性、SDGs、経済協力等)に沿う形で、89のAOIP協力プロジェクトを現在推進中です。新型コロナ対策・経済回復支援では、ワクチン・医薬品の提供、財政支援円借款、ASEAN感染症対策センター(ACPHEED)の設立・運用等の支援を行っています。社会・文化の分野では、「21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYS)」や「文化のWAプロジェクト」などを通じて人的交流、スポーツ文化交流を推進し、コロナを経て対面での交流も再開しています。
2023年は日本ASEAN友好協力50周年だけではなく、日カンボジア友好70周年、日ベトナム外交関係樹立50周年、日インドネシア国交樹立65周年と、ASEAN各国の周年も重なっています。12月に東京で開催予定の日ASEAN特別首脳会議まで、東京やASEAN各国で様々な行事が開催される予定です。
日本ASEAN友好協力50周年キャッチフレーズは「Golden Friendship, Golden Opportunity(輝ける友情、輝ける機会)」です。Golden Jubilee(50周年)の節目を最大限に生かして、日本ASEAN関係を新たなステージに引き上げ、私たちの友情や機会、そして未来が輝かしいものとなるよう全力を尽くす決意です。日本ASEAN協力の将来の発展を担う幅広い分野の皆様とお会いできることを楽しみにしています。
ASEAN代表部大使 紀谷昌彦