ASEAN50周年・福田ドクトリン40周年記念シンポジウムの開催

平成29年12月19日
10月27日,ジャカルタにおいて,ASEAN日本政府代表部,在インドネシア日本大使館及びインドネシア科学院(LIPI,インドネシアのシンクタンク)の共催により,ASEAN50周年・福田ドクトリン40周年記念シンポジウムが開催されました。

シンポジウムでは,福田康夫元内閣総理大臣(日インドネシア協会会長)及びギナンジャール元大統領諮問会議委員(インドネシア日本友好協会会長)に基調講演いただき,2つのパネルディスカッションが行われました。

会場にはモクタンASEAN事務次長,各国ASEAN大使をはじめ,インドネシア政府関係者やASEAN研究者など400名超が集まりました。

福田康夫元内閣総理大臣の基調講演概要は以下のとおりです。

 
【福田康夫元内閣総理大臣(日インドネシア協会会長)による基調講演概要】

○ASEAN50周年に祝意。ASEANが設立された1960年代は,多くのASEAN諸国は独立後間もない時期で政治・経済体制も整っていなかったが,ASEAN各国が互いを尊重し多様性を認め合うASEANウェイにより,最も成功した地域協力機構と評価されるほどに発展。経済,政治・安全保障,文化・人的交流いずれの面においてもASEANは存在感を高めている。

○日ASEAN関係の基礎を築く転機となったのが,(1)日本は軍事大国とならない,(2)心と心の触れ合う相互信頼関係,(3)日本とASEANは対等なパートナー,というメッセージを込めた1977年発表の「福田ドクトリン」であり,現在でもその精神は色褪せず,日本の対ASEAN外交の根幹として生き続けている。

○日本とインドネシアの関係については,来年国交樹立60周年を迎える。インドネシアの目覚ましい発展なくしては,ASEANの発展や経済統合は実現しないといっても過言ではない。その証左にASEAN事務局やERIAがジャカルタに本拠を置いている。また,両国は,深い相互理解に基づき,自由,民主主義,市場経済といった基本的価値観を共有し,地域・国際社会の共通の課題に取り組む関係へと発展。

○ASEANは無限の可能性に満ち溢れており,今後,さらなる自由な貿易や投資が進むと想像。より質の高い経済連携を目指し,その流れをより広い地域で実現することが重要。日本とASEANの関係は,次の50年も不変。心と心の触れ合う交流を通じて,日ASEAN関係はさらなる高みへと向かう。

 
(参考)
【セッション1:ASEAN経済共同体への日インドネシアの貢献】
・植木 靖 東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)研究員
・ザムロニ・サリム LIPI経済研究センターシニア研究員
・ティルタ・ムルシタマ ビナ・ヌサンタラ大学国際関係学部長
 
【セッション2:ASEAN政治安全保障共同体への日インドネシアの貢献】
・スマディ・ブロトニディングラット 元駐日・駐米インドネシア大使
・アドリアナ・エリザベス  LIPI政治研究センター長
・エディ・プラスティヨノ インドネシア大学ASEAN研究センター副センター長