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中国国防部による「東シナ海防空識別区」の発表について


平成25年11月28日



1. 11月23日、中国国防部は、「東シナ海防空識別区」を設定し、当該空域を飛行する航空機は中国国防部の定める規則に従わなくてはならない旨を発表しました。
2. 中国側がこうした空域を設定し、自国の規則に従うことを義務付けることは、東シナ海における現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、現場海空域において不測の事態を招きかねない非常に危険なものであり、日本政府として強い懸念を表明します。
3. 中国国防部の発表した公告は、公海上の空域を飛行する航空機に対して、一方的に自国の手続に従うことを義務付け、これに従わない場合の中国軍による「防御的緊急措置」に言及しています。こうした措置は、国際法上の一般原則である公海上における飛行の自由の原則を不当に侵害するものであり、国際航空秩序に対して重大な影響を及ぼすものです。東シナ海は多数の民間航空機の飛行経路となっており、我が国は、民間航空の秩序及び安全への影響の観点からも、大きな懸念を有しています。
4. 今回発表された措置は、我が国に対して何ら効力を有するものではなく、中国側に対して公海上における飛行の自由を妨げるような一切の措置を撤回することを求めます。
5. また、中国国防部が設定した空域は、我が国固有の領土である尖閣諸島の領空があたかも「中国の領空」であるかのごとき表示をしており、日本側として全く受け入れることはできません。
6. 中国側に対しては、既に以上のような日本側の懸念を伝え、厳重に抗議するとともに、関連措置の撤回を求めました。また、今回発表された措置をめぐっては、同盟国である米国と緊密に連携・協議しており、地域の安定と安全に関心を有する関係国やパートナーとも協力していきます。中国側に対しては、国際社会と連携しつつ、自制を強く求めていく考えです。
7. 我が国としては、引き続き、中国による「力」を背景とした現状変更の試みには、我が国の領土・領海・領空は断固として守り抜くとの決意で毅然かつ冷静に対処していく考えです。


齋木外務事務次官から程永華駐日中国大使への抗議

1. 本25日午後4時30分頃、齋木昭隆外務事務次官は、程永華(てい・えいか)駐日中国大使を外務省へ召致し、岸田文雄外務大臣の指示に基づくとして、11月23日、中国国防部が「東シナ海防空識別区」を設定し、当該空域を飛行する航空機は中国国防部の定める規則に従わなくてはならない旨発表したことについて、以下のとおり厳重に抗議するとともに、関連措置の撤回を求めました。
(1) 中国側がこうした空域を設定し、自国の規則に従うことを義務付けることは、東シナ海における現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、現場海空域において不測の事態を招きかねない非常に危険なものであり、日本政府として強い懸念を表明する。
(2) 中国国防部の発表した公告は、公海上の空域を飛行する航空機に対して、一方的に自国の手続に従うことを義務付け、これに従わない場合の中国軍による「防御的緊急措置」に言及している。こうした措置は、国際法上の一般原則である公海上における飛行の自由の原則を不当に侵害するものであり、国際航空秩序に対して重大な影響を及ぼすものである。東シナ海は多数の民間航空機の飛行経路となっており、我が国は、民間航空の秩序及び安全への影響の観点からも、大きな懸念を有している。いずれにせよ、民間航空機の安全が確保されることは当然であり、また、民間航空機に不当な義務を課すことがあってはならない。日本としては、これまでのルールどおりの運用を行っていく。
(3) 今回発表された措置は、我が国に対して何ら効力を有するものではなく、中国側に対して公海上における飛行の自由を妨げるような一切の措置を撤回することを改めて求める。
(4) また、中国国防部が設定した空域は、我が国固有の領土である尖閣諸島の領空があたかも「中国の領空」であるかのごとき表示をしており、日本側として全く受け入れることはできない。
2. これに対し、程永華大使は、中国側が設定した空域は、日本を含めた一部の国も設定しており国際慣行に合致したものである、今回の措置は特定国を対象としたものではなく、民間航空機を含め飛行の自由を妨げるものでもない、当該措置の撤回を求めるという日本側の道理に合わない要請の撤回を求める、日中の関係当局間で意見交換を行うべきである等述べた上で、尖閣諸島に関する中国独自の立場につき発言がありました。
3. これに対し、齋木外務事務次官から、中国独自の主張は全く受け入れられず、中国側が措置を速やかに撤回すべきである旨改めて述べた上で、当方からの抗議について本国に正確に報告するよう求めました。

中国による東シナ海における防空識別圏の設定(伊原アジア大洋州局長から韓志強在中国大公使への抗議)

1. 本23日午後4時10分頃、伊原アジア大洋州局長は、韓志強在京中国大公使に対し、本日中国国防部が発表した東シナ海における防空識別圏の設定について、我が国としての厳重な抗議を行いました。
2. この中で、伊原局長は、中国側が今次設定した東海防空識別圏は、わが国固有の領土である尖閣諸島の領空を含むものであり、日本側としては全く受け入れることはできない旨伝えました。
3. その上で、伊原局長は、中国側がこうした空域を一方的に設定することは、尖閣諸島をめぐる状況を一方的にエスカレートさせるものであり、現場空域において不測の事態を招きかねない非常に危険なものである旨指摘し、岸田外務大臣からもしっかり申し入れるよう言われている、日本側として更なる抗議・申入れを行う権利を留保する旨伝えました。
4. 以上に対して、韓志強公使は、中国側の独自の立場を述べた上で、本国に報告する旨述べました。
5. なお、日本政府としては、23日午後に内閣官房において関係省庁局長級会合を開催する等、情報収集及び対応を行っています。