日本は防災分野でのASEANとの協力の一環としてASEAN人道支援調整センター(AHAセンター)への支援を行ってきましたが、今回のフィリピンを襲った台風30号の被害対策では、日本からAHAセンターに対する支援が以下のように活用されました。
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台風上陸前の11月7日、AHAセンター職員2名及びASEAN緊急評価チーム(ERAT)2名が現地に派遣され、同センター職員はフィリピン国家災害対策本部とタクロバンとの間の通信手段を確保しましたが、これに使われたのが、日本が寄贈したインマルサット通信用端末です。同センター職員3名が現地でフィリピン政府との調整や現地調達の任務にあたっています。 |
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日本がASEAN内に設置した日ASEAN統合基金(JAIF)を活用してマレーシア・スバンに設置されたASEAN緊急災害ロジスティック・システムの資金を利用し、AHAセンター職員が米2,5トン、水2,000本をマニラで現地調達しました。これら物資は11月14日、マニラのフィリピン国家災害対策本部へ手交されました。このほか、ファミリーキット2,000セット、防水シート1,000枚(5,000人分をカバー)も現地で調達し、タクロバンへ輸送しています。 |
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20日、ASEAN緊急災害ロジスティック・システムを通じて、現地オペレーション・センター支援のための物資(オフィス・プレハブ、可動式倉庫、テント、発電機、オフィス用品)を貯蔵庫のあるマレーシアのスバンからタクロバンへ輸送しました。その際、AHAセンターのロジスティック担当も同乗しました。 |
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マレーシア及びブルネイからフィリピンへの支援の申し入れについて、ASEAN災害対応標準手続(SASOP)に基づき、AHAセンターがWebEOC(注)を用いて調整しました。
(注)WebEOC:我が国がJAIFを用いてASEAN用にカスタマイズ中のAHAセンターとASEAN各国の防災拠点との間の防災関連情報のスムーズな交換・共有のためのソフト。災害が発生した際の被災状況の報告、被災国による支援の要請、加盟国からの支援の申し入れ、支援物資の調整等が同ソフトを通じて実施・調整される。 |
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センチネル・アジア及び、ECHO-ERCC(欧州共同体人道支援事務局・欧州対応調整センター)を通じて「コペルニクス」から、被災地の衛星画像を入手しました。
(注)センチネル・アジアとは、2005年に日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提唱し、アジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)が推進を決定した国際プロジェクト。アジアにおける防災・減災活動を支援するため、JAXAなどアジア各国の政府機関が保有する地球観測衛星で取得した衛星画像を、衛星を保有しない国を含めたアジア各国へ衛星やインターネットの通信を利用して配信するシステム。 |
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ERATの報告を含む被害の評価、現地ニーズの評価、ASEAN各国の支援状況等を含む現地状況報告を毎日発出しています。なお、AHAセンター本部のICT機材はJAIFにより購入されたものです。 |