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相星大使着任挨拶


このたびASEAN日本政府代表部大使としてジャカルタに着任致しました。日本にとってますます重要性を高めているASEAN地域への日本政府の代表として、皆様のお力添えを頂いて、重責を果たして参りたいと思います。


私は2008年から2011年までの約3年間、ベトナムに駐在致しました。特に2010年はベトナムがASEAN議長国を務め、ベトナム全国で多くのASEAN関連会議・行事が開催されるとともに,我が国がASEAN代表部の正式開設に向けての準備を進めていた時期でした。それから4年を経て今般,当代表部に着任したことは感慨深いものがあります。1977年、日本が初めてASEANとの首脳会議を開催し、対等なパートナーとして「心と心がふれあう」関係構築を謳った福田ドクトリンを表明して以来、我が国とASEANは共に手を携えて歩み続けてきました。日ASEAN友好協力40周年を迎えた昨年、安倍総理大臣が約一年間の短い期間で全てのASEAN加盟国を訪問されたことにも象徴されるように、政治、経済、文化・人的交流の面で日本とASEANの関係は緊密化し強化されてきています。昨年12月に開催された 日ASEAN特別首脳会議では、日・ASEAN友好協力に関するビジョン・ステートメントとその実施計画を採択し、「平和と安定のパートナー」、「繁栄のためのパートナー」、「より良い暮らしのためのパートナー」、「心と心のパートナー」の4つの分野において、日本とASEANが協力を強化することがあらためて確認されました。これらのパートナーシップの強化を今後着実に進めていく所存です。


日本にとってASEAN地域が死活的に重要であることは論を待ちません。日本の生命線であるシー・レーンがこの地域を通っており、その平和と安定は日本にとって不可欠です。積極的平和主義の下、日本としてもASEAN地域の平和と安定に貢献していく所存です。また人口6億人を擁し、過去10年間で国内総生産が約3倍の増加という著しい経済成長を遂げているASEANは、日本にとって第二の貿易相手であり、東アジア最大の投資先でもあります。日本はASEANに対して10年前の2倍以上の投資を毎年行っているのみならず、在留邦人数も毎年増加し、10年前の約2倍に上っています。現在ではASEANへの進出日系企業数7400、在留邦人約15万人という我が国企業の生産ネットワークの拠点が築かれています。日本の製造業が中期的に展開を加速したい国を尋ねる調査では、ASEAN加盟国の順位が年々上昇し、昨年は首位のインドネシア、第3位のタイを含め、上位20位以内にASEANの9ヶ国が入りました。


人的、文化的な面でもASEANと日本は強い結びつきを有しています。相撲や和太鼓といった伝統文化のみならず、アニメ、ファッション等の日本のポップカルチャーはASEAN内で大きな人気を博しています。さらに日本では今や1万3000人を超えるASEANからの留学生が学び、10年前の2倍に迫る勢いであります。また地震、津波、台風等の大規模な自然災害に際しては、日本とASEANとが助け合って救援・復興に取り組んできています。3年前に発生した東日本大震災の際には、ASEAN各国から暖かい支援の手を差し伸べられ、昨年11月、フィリピンで発生した台風ハイアンのようにASEAN地域で大規模災害が発生した際には、日本は二国間のチャネルで、あるいはAHAセンターを通じて、積極的に支援を行っています。


2015年のASEAN共同体構築へ向け、ASEAN諸国はお互いの協力を強め、国際社会でのプレゼンスを高めつつあります。また、2015年は我が国にとっても戦後70周年の大きな節目に当たります。民主主義・平和国家としての道を歩んできた日本としてはASEANとの長年の友好関係に基づく信頼を基盤とし、戦略的なパートナーとして政治、経済、文化・社会面での関係を一層強化し、共同体構築に向けたASEANの取組みを積極的に支援してゆくことが求められています。今後,日本の対ASEAN外交の現場で全力を尽くして行きたいと考えておりますので、皆様のご協力とご支援を宜しくお願いいたします。





石兼大使離任レセプション挨拶


この度、約1年10ヶ月間のASEAN大使としての任務を終えて帰朝することとなりました。私自身が考えていたよりも短い在任期間ではありましたが、任期中に多くの方々と出会い、日本とASEANとの関係強化に共に協力して取り組んだ経験は大変貴重なものであり、また大きな喜びでもありました。ASEAN大使としての活動にあたり、公使にわたり皆様から頂いたご支援とご厚情に心より感謝申し上げます。


ASEAN大使の任務を終えるにあたり私が強く感じているのは、日本の対ASEAN外交がASEAN加盟10ヶ国との二国間外交の総和だけではなく、地域全体の視点をもった外交も行わなくてはならないということです。ASEAN共同体構築に向けて着実に歩みを続けるASEANと如何につきあっていくのか、またASEAN各国とのバイの外交と、ASEANという地域とつきあうマルチの外交を如何に組み合わせていくのかを日本として真剣に考えなくてはならない時期に来ています。これまで対ASEAN外交の現場に立ってきた者として、地域外交の視点の重要性を強く認識し、その必要性を東京の政策決定者に伝えていくことがASEAN大使としての私の最後の責務だと考えておりますし、またこの点は、これからASEAN外交に携わる方々に是非留意して頂きたいと思います。


昨年は日・ASEAN友好協力関係開始から40周年を記念し、日本とASEANの双方で様々な行事が開催され、特に活発で充実した1年となりました。そのクライマックスとして、12月には東京で日ASEAN特別首脳会議が開催され、日ASEAN関係の将来に向けたビジョン・ステートメントとその実施計画の採択を含めた多くの成果が発表されました。この特別首脳会議の成功に私自身も微力ながら貢献することが出来、日ASEAN関係の強化に少しでも役立てたことを光栄に思います。今後はこの特別首脳会議の成果文書の内容を着実に実施し、引き続き日本とASEANの関係強化を図っていただきたいと願ってやみません。


任期中の楽しかった思い出は数多くありますが、その中でも特に懐かしく思い出されるのは、昨年1月のジャカルタでの大洪水の翌日にレ・ルオン・ミンASEAN事務総長をお迎えし、日ASEAN友好協力40周年のキック・オフ・レセプションを盛大に開催できたこと、また8月には日本から大相撲の巡業一行をお迎えし、大相撲ジャカルタ場所及びASEAN事務局での「相撲講演会」が開催されたことです。また先日は、日ASEAN40周年を記念して、前ASEAN事務次長であるインドネシア外務省のバガス・ハプソロ大使が「友情よ、いつまでも」という歌を作られ、JAIF運営委員会の紺野静香さんなどと一緒に演奏されたものを頂きましたが、このように日ASEAN友好関係のために真摯に尽くしてくださる方々の熱意にも胸を打たれました。


東京に戻り、新しいポストに就いた後にも、何らかの形で引き続き日ASEAN関係強化のお役に立ちたいと考えておりますが、今後の日ASEAN関係のさらなる発展と、その職務に関与される皆様の益々のご活躍を祈念して、私のお別れの御挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。