人的交流分野における日本の対ASEAN協力2016年2月 1. 背景 我が国がアジアの国々と共に歩んで行くために、各国の将来を担う若者が互いに理解し合い、そして未来を切り開いて行くことが求められています。また、言語、宗教、文化などASEAN各国の違いを乗り越え、一体性を持ったASEAN共同体を構築するためには、人的交流による横のつながりを強化することが重要です。 2015年11月のASEAN首脳会議で採択された共同宣言「ASEAN 2025: Forging Ahead Together(共に前進する)」においては、人々の参加を得て人々に恩恵をもたらす、包摂的、持続的、強靱でダイナミックな共同体を目指すこととされています。ASEAN2025では、ASEAN社会・文化共同体の構築に向けた具体的な行動項目として、ASEAN域内及び域外との間で人的交流や流動性を促進することが掲げられました。 我が国が推進している日本とASEAN諸国との人的交流は、ASEAN共同体支援の一環となっています。 2. 日本のこれまでの協力例 日本とASEAN諸国との間では、アジアの強固な連帯にしっかりとした土台を構築するとの観点から、2007年1月の第2回東アジア首脳会議(EAS)で安倍総理が表明した21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYS programme)を始めとして、政治・社会・歴史・科学技術・文化芸術・スポーツ等の幅広い分野で、大規模な青少年交流を推進してきました。2016年3月までに、未来を担う約3万人の若者がこのような交流プログラムに参加する予定です。 [日本とASEAN諸国との交流数] (1)JENESYS programme(2007年~5年間)
例えば、JENESYS2015で来日したASEAN(カンボジア・ベトナム)の若者は、2015年8月に我が国で開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(WAW!2015)」を視察するなど、人的交流を通じたASEANの一体感を醸成したのに加えて、我が国の社会や伝統への理解を深めました。また、参加者は帰国後もJENESYSのFacebook等を通じて交流を深め合い、同時に我が国の多様な魅力の発信や日本への持続的な関心の増進に寄与しています。 3. 今後の協力の方向性 2015年11月の日ASEAN首脳会議において、安倍総理からJENESYS2015等を通じて心と心のパートナーシップを着実に深めていくことを改めて表明し、ASEANの各国首脳からも我が国よる人的交流の取組に感謝する旨の発言がありました。 2015年度補正予算に盛り込まれた「JENESYS2016(テーマ:経済)」では、特に経済分野に焦点を当て、中小企業や農業の現場、地方自治体の訪問・視察及び交流行事等を通じて、我が国の経済政策に関する理解促進を図るとともに、経済発展の著しいASEAN諸国において各界の将来を担う青少年との更なる交流を促進していきます。 2014年にASEAN7カ国を対象として行った対日世論調査では、9割以上が日本について「友好関係にある」「どちらかというと友好関係にある」、また、「信頼できる」「どちらかというと信頼できる」と回答しました。回答者の1割が日本語を学習したことがある等、日本への関心が高いことも分かります。若者の交流は、これらの好意的な対日感情を下支えする重要な活動です。 今後も、JENESYS等を通じて得られた相互理解を促進し、参加者同士のネットワークによってASEAN共同体の強化に貢献するとともに、そこから日本の魅力の発信にも努めていきます。
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